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乳がんと遺伝について|患者さんへ

乳がんと遺伝について

乳がんに限らず、がんの発症には「環境要因」と「遺伝要因」が関係していると考えられています。それぞれのがんで、どちらの要因が大きな役割を占めるのかの比率は異なっています。
強い遺伝要因がある場合、血縁者で複数の方にがんが発症する、「がんの家族歴」が見られることがあります。乳がんでは、乳がんや卵巣がんの家族歴が見られるケースがあることが良く知られており、乳がん全体の15-20%を占めています。 ただし、「家族歴」=「遺伝性乳がん」ではなく、遺伝性乳がんそのものは乳がん全体の5-10%といわれています。

乳がんの遺伝要因には強いものから弱いものまでさまざまなものがあると考えられますが、その中で特に強く乳がんに関係している遺伝子があることがわかっています。 BRCA1遺伝子BRCA2遺伝子と呼ばれる2つの遺伝子のどちらかに変異があると、乳がんだけでなく卵巣がんなどにもなりやすいことがわかっており、「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」と呼ばれます。 遺伝子は性別に関係なく親から子へと50%の確率で受け継がれますが、変化の遺伝子を持っている男性や女性が全員乳がんや卵巣がんになるわけではありません。

遺伝性の乳がん、卵巣がんも一般的な乳がん、卵巣がんと同じで早期発見・早期治療が有効ですが、「もう一度別の乳がんになる」「乳がんだけでなく卵巣がんも発症する」などのリスクがあるため、それを考慮した個別化医療が行われます。 継続的で詳しい検診を行ったり、乳房温存手術が可能であってもあえて乳房切除術をお勧めしたり、予防的な卵巣・卵管切除手術を検討することがあります。 このような予防的な手術は、十分な説明を聞いていただき、良く考えた上で決めていただく必要があります。

また、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の血縁者の方は同様の遺伝子の変化を持っている可能性があります。遺伝性乳がん・卵巣群症候群の方は「若くして乳がんになる」ということも知られているため、その可能性がある場合は未発症の血縁者も20代頃から定期的な健診が勧められます。
乳がんの原因に合わせた適切な治療を受けるためにも、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群かどうかを判断することは重要です。

◆遺伝カウンセリング

BRCA1、BRCA2遺伝子に変異があるかどうかは、血液を使った遺伝子検査で調べることができます。まずは遺伝カウンセリングを受けていただき、検査を受けるかどうかを相談してください。※遺伝カウンセリングや遺伝子検査は保険外診療となります。
次のいずれかにあてはまる場合には、遺伝カウンセリングなどの専門的な評価を受けることが勧められています。

  • 若年性乳がん(40 歳以下で診断された)
  • トリプルネガティブ乳がん
  • おひとりで2個以上の原発性乳がん
  • 卵巣がん
  • 男性乳がん
  • 乳がんを発症したことがあり、かつ次にあてはまる血縁者がいる
    • 50歳以下で乳がんを発症
    • 卵巣がんを発症
    • 乳がんまたは膵がんを発症(2人以上)

京都大学医学部附属病院では遺伝子診療部で遺伝カウンセリングを受けることができます。ご希望の方は担当医にご相談下さい。

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