診療|京都大学乳腺外科の紹介
乳がん治療は手術療法、放射線療法, ホルモン療法,化学療法,分子標的療法を適切に組み合わせることによって治療成績が向上します。
外来化学療法部、放射線診断科、放射線治療科、形成外科、病理診断部と毎週検討会を行い、複数の専門医が個々の症例の診断および治療方針について検討し、集学的な治療による成績の向上を目指しています。
非浸潤性乳がんや微小浸潤がんのような初期乳がん患者さんに対しては手術、放射線療法などの局所治療を中心とした治療をおこないます。
その際に、病理学的な判定に加え、分子生物学的なマーカーのプロファイルも考慮する場合があります。
浸潤性乳がんの場合には局所療法と全身療法を組み合わせて治療することになりますが、治療法の選択に関しては個々の症例の再発のリスクとがんの生物学的な特性を考慮します。
具体的にはリンパ節転移を有するようながんの全身性の進展が疑われる患者さんに対しては、より積極的に薬物療法を考慮し、リンパ節転移を認めず腫瘍の悪性度や分子生物学的な特性が比較的おとなしいと判断される場合にはより毒性の少ない治療法を個々に応じて選択します。
なお、がんが既に全身性に転移しているような患者さんではQOLを重視した「ガンとの共存を図る治療」という原則に則った治療方針で臨んでいます。
また、超音波、マンモグラフィー、MRI、CTなどの画像診断によって腫瘍の乳腺内の広がり、また全身性の波及を評価し、組織生検(コアーニードルまたはマンモトーム)によってがんの性質を診断します。
手術術式に関しては(「乳房切除術または乳房部分切除術(乳房温存術)」「腋窩リンパ節郭清、センチネルリンパ節生検など」)、これらの診断結果を患者さんに十分理解していただき、相談と納得の上で決めていきます。
乳房温存術は、整容性を考慮した皮膚切開、乳腺切除断端陰性、放射線治療の併用を基本方針とし、根治性と整容性の両立を目指しています。
乳房再建は同時再建、異時性再建のどちらでも施行可能で形成外科と綿密に協力して取り組んでいます。
化学療法、ホルモン療法、分子標的治療などは、グローバルコンセンサスや各種ガイドラインを参考にエビデンスに基づく治療を行っています。
有効な治療法が確立していない分野においては、新しい治療法の臨床試験なども行っています。
総合的診療基盤の上で先進的な診断・治療を行い、関連病院を中心とした病病連携、病診連携のもとで、「一人一人の患者さんにとって、至適で満足度の高い治療を提供、実践する」ことを目標に、世界的な診療拠点となるべく日々の診療を行っています。