研修プログラム|京都大学乳腺外科の紹介
研修・研究プログラムと教育の方針について
臨床研修プログラム
――― 後期研修プログラム (修練医として3年間研修)
乳腺疾患、特に乳がんに関する知識と乳腺診療に必要な技術の習得をできるようにプログラムを構成しています。
知識に関しては、使える知識の習得、特にカンファレンスで十分討議でき、患者さんに納得してもらえる説明、さらには国内の学会や国際会議で議論ができるレベルを目標にしています。
技術に関しては、他から信頼され、自らも信頼できるレベルの技術を習得してほしいと考えています。
乳腺の臨床では、乳がんの生物学に関する基礎的知識、診断に必要な知識と技術、局所療法、全身療法を行うための知識、技術が求められます。
すべてを同時に習得することはなかなか困難ですが、万遍のない知識と技術はいろいろなところで役立ちます。
また、臨床実践の中から出てくる素朴な疑問に対応し、出てくるアイデアを形にして生かすためのノウハウについても学んでほしいと思います。
――― 乳腺専門医プログラム (医員として最大5年間勤務)
乳腺診療に必要な幅の広い専門的知識、技術を習得することは無論ですが、新たな診療概念や手法を臨床的に開発できる能力を身につけてほしいと思います。
その上で、乳腺診療の中のどの分野を専門とするかを考え、自由な発想で専門性を高めていただければと思っています。
臨床研究を行うための生命倫理に関する知識、またチーム医療に求められる協調性についても、高いレベルのものをもってほしいと考えています。
研究プログラム
――― 大学院生プログラム(医学研究科医学専攻博士課程学生として4年間勤務)
乳がんに関する研究を計画し遂行する。乳がんの臨床生物学に関する研究、新しい医療技術の開発につながるような研究が主な対象となる。
――― 研究生プログラム(研究生として勤務)
乳がんに関する研究の計画、遂行、博士号を取得する。
習得可能な技術
日本乳癌学会の専門医取得に必要な事項(抜粋)
- 乳がん100例以上
- 乳腺症30例以上、線維腺腫20例以上、女性化乳房症5例以上
- 思春期早発症、副乳、乳管拡張症、乳汁漏出症、周期性乳房痛(月経依存性)、乳瘤、急性乳腺炎、産褥乳腺炎、乳輪下膿瘍、乳管内乳頭腫、乳頭部腺腫、腺腫、葉状腫瘍、Paget病、肉腫:これらの疾患について合計20例以上
- マンモグラフィ:読影経験100例以上
- 乳房超音波検査:読影経験100例以上
- MRマンモグラフィまたは乳腺CT検査:読影経験30例以上
- 穿刺吸引細胞診:実施経験20例以上
- 針生検(または吸引式組織生検):実施経験10例以上
- 乳房切除術30例以上、乳房温存術30例以上
- 切開排膿術、腫瘤摘出術、再発巣切除術の合計20例以上
- 内分泌療法30例以上
- 化学療法30例以上
- 乳がん根治術が必要な患者を担当し、術前評価、術前管理、インフォームド・コンセント、術後管理ができる。
- 乳がん術後リハビリテーションの患者への指導ができる。
- 乳がんに対する術前化学療法の適応を決定し、実施することができる。
- 乳がん術後の補助療法の適応を決定することができる。
全体の方針について
創造性豊かで、観察力があり、自由闊達に発想できるような人、また粘り強い遂行力を有するような人、生命倫理に自然な感性をもつような人、さまざまな人材が育つような、広く集うような環境を整備したいと考えています。分野を超えた交流の機会も大切です。
これからは国際的に活躍できる人、特にリーダーシップがとれる人がより求められます。深い学識や独創性などに加え、発信力、説得力、ディベート力なども必要になります。
将来の担い手には是非、そのような能力も身につけて欲しいと思います。